雷サージは、商用周波よりはるかに高い周波数であるため、1次コイルと2次コイルの間を商用周波について絶縁するだけでは雷サージの移行を防止できません。雷サージ防止のために通常のトランスを入れても、思ったほど効果がでないのはこのためです。また、雷サージは非常に高い電圧とエネルギーを持っています。つまり、雷サージ防止には、高周波絶縁・高電圧絶縁が欠くことのできない重要な要素となります。
1次2次コイル間のストレーキャパシティーを最小にすることで高周波絶縁効果を持たせ、また衝撃波に対して充分な耐久性を兼ね備え、サージを大地に逃がすことが雷サージ防止トランスの原理であり、開発のポイントになります。SPIトランスはこれらを踏まえて開発された、高周波絶縁効果を持ち、高電圧に耐えることができる雷サージ防止機能を持ったトランスです。
サージが電子機器内部に侵入すると、そのエネルギーを消耗するまで絶縁や耐圧の低い箇所を破壊しながら大地へと進行します。その際、電子機器のシグナルグランドを接地している場合には、サージ破壊通路が用意されているも同然で非常に危険です。
また、電子機器が非接地系でサージが電磁誘導性の場合、電流計側のCT回路の2次側開放のように、その絶縁部において非常に高い電圧の発生を招き火花放電による破壊が進みます。この場合、サージの進行は予測できない経路をたどります。
SPIトランスは、系統側に侵入してきた雷サージがパワコン側に移行しないよう、雷サージ防止機能を持たせた製品です。この雷サージの移行を防ぐ能力を数値で示したものが減衰率です。減衰率は単位をdB(デシベル)で表し、サージ移行の比を表します。
上記の式で減衰率を算出します。また、SPIトランスは1次サージ電圧10kVで、2次30Vの性能となります。(※代表値)
よって、SPIトランスの雷サージ減衰率は、
となります。
下記表より、SPlトランスは雷サージを1/316に下げる性能を持ったトランスとなります。
減衰率 | -10dB | -20dB | -30dB | -40dB | -50dB | -60dB |
---|---|---|---|---|---|---|
比 | 1/3.162 | 1/10 | 1/31.62 | 1/100 | 1/316.2 | 1/1000 |
図により雷雨日数の等しい地点を結ぶ線、等雷雨日数線をIKL(ISO KELONIC LEVEL) と呼び雷雨分布の表示に用いられています。この資料は昭和29年から38年度の10年間の平均 データであり、近年異常気象が観測されており、一概にこのデータを鵜呑みにすることは安全対策上疑問が 残ります。やはり、重要施設には充分な雷保護対策を行うことが 必要でしよう。
雷雨は地域格差が大きく高雷雨地域は充分な耐 雷対策が必要でしよう。また無人の重要施設は 全国的にみてもどこに落雷しても不思議でない 状況なので防雷の必要性は高いでしよう。
雷害は、雷サージが電子機器に侵入して絶縁破壊や誤動作という結果を引き起こし大変な被害を与えます。この雷サージには種類があり、雷の直撃による直撃雷サージ、雷現象の誘導による誘導雷サージおよびアースへのサージ電流により発生するアース電位差サージがあります。
落雷の直撃によるサージで、最も破壊電圧は高く被害も大きくなります。確率的にはかなり低く、起きる可能性は他の雷サージよりも低いものです。
誘導雷サージには次の2種類があります。
図1に示すように、雷雲下部の負電荷によりケーブル上に正電荷が誘導されます。そして雷雲が落雷などにより放電しその電荷が中和消滅すると、ケーブル上の正電荷は拘束を解かれ サージとなり侵入するものです。
図2に示すように落雷電流による電磁誘導でケーブルに誘起されたサージが侵入するものです。
また、サージエネルギーの大部分はケーブル~大地間 (コモンモード) にサージとして侵入します。
誘導雷による被害は落雷地点から数kmも離れた地点で発生するために、被害の範囲が広くかつ、現象がつかみ難く非常に問題のある雷害です。この防止策として耐雷トランスの設備が有効な防止対策となります。
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