製品輸出の際には、様々な問題を乗り越える必要性がありますが、機械.装置.システムを輸出する場合に、関税の輸出手続きと並んで重要な事は、輸出相手国の法規にあわせた安全設計であり、法規を順法することが大切で、海外のお客様にとって魅力ある製品である事が重要です。
日本は、技術先進国として従来は世界に製品を輸出する、輸出貿易大国でしたが、近年、アジア諸国に様々な分野で苦戦を生じてきています。 私達日本の持つ、世界的にすぐれたJIS規格の製品は、1995年以降、残念ながら輸出に適合する事が難しくなりました。 JIS規格で製品をつくっても、海外規格との相違の為に、規格がとれないケースがあります。この事は、かなり以前から問題視されてJIS規格の国際化を盛んに議論されてきましたが、困難な問題があります。 一部の規格の国際適合化は進んでいます。例えば、JIS-c60601・IEC60601・EN60601・UL60601などがその例で、医用関係では国際標準化が完備しています。他には、IEC60950も同様です。しかし、このような装置規格に関しては標準化できていますが、それに使われる部品の国際化の場合には、基本的にIECとの整合化が基本となり、その適合するIECがULと適合化されてない場合には、結局2つの規格(米国と欧州)に対してクリアせざるをえない、のが現状です。 お客様の装置・機械・システムに関わる、国際規格を探し、そしてその規格に基づき、現状の設計を見直すことが第一になります。
ここで大切なことは、安全に対する意味の違いがあります。従来もフェールセーフ・フールプルーフの考え方はありますが、規格の求める安全への要求レベルの高さや規格によって違いがあることなのです。 この安全の概念の違いが、海外規格の認証において、一番重要なPOINTになります。概念の異なりによっては、従来の製品のシステムを全く一から再構築する必要性もある事を年頭におく必要性があります。この場合には、とても大変な製品の再開発になります。 従来より安全に十分に配慮された製品の場合には、製品を構成する各種部品や、安全カバー等の交換・追加で対応が可能になります。
規格の認証試験は、欧州(CEマーク)の場合には、第三者認定機関(Notified Body : N/B ノティファイド・ボディー)の審査・認証試験を受けることが大切です。圧力容器のような場合には、N/Bの審査は必ず必要になりますが、一般産業機械の場合には、CEマーキングの自己宣言も可能です。しかしこの自己宣言を行う為には、必ず認証機関(N/B又は、C/Bの資格を有する事)による製品試験受け、規格の示す内容をきちんと理解する事が大切です。この理由は、前述したように、安全にたいする認識と理解が、私達と欧州では大きく乖離していることがあるからです。
米国は、欧州とシステムが大きく異なり、現物に対するマーク表示で、規格への適合性を表示します。ULやETLマーク等がこの表示になります。 EUのCEマーキングは、ドキュメンテーション主義(CDF:技術構造文書)で製品安全を示しますが、米国では、現物へのマーキング主義で、一目瞭然に判別できるように規格をとることが求められています。
米国において、新規の工場が建設される際に、現地に管轄当局(Authorities Having Jurisdiction : AHJ)の担当者が建設現場にトレーラーハウスの事務所を置き、基礎工事の段階から建築に使用される材料の確認を行う。その確認作業は、建築物のみならず、工場稼動時の機械設備まで確認を行う、この確認内容が、米国認定試験機関(National Recognized Testing Laboratory : NRTL)が発行したマーク(例:ULマーク・ETLマーク等)を確認し、そのハンドブックをもとに材料が規格を取れているのか確認する作業が行われます。